EA検証を行なう際に、重要なプロセスの一環としては、バックテストは不可欠です。右肩上がりのグラフは見た目いいですが、本当に安心できるEAなのでしょうか。
今回は3つのプロセスを通じて、EAのバックテストの見方や、注意すべきポイント等を踏まえながら解説したいと思います。
バックテストによる動作確認
EAを入手したら、少なくとも10年間のバックテストを行ないましょう。データの入手はこちらで出来ます。
https://www.fxddtrading.com/bm/jp/resources/mt4-one-minute-data
ダウンロードできたら、Zipファイルの解凍も必要です。その後、MT4にインポートして、「PeriodConverter」という内蔵ツールを通じて、ご希望の時間足に変換可能です。
※インポートから、解凍ファイルを開けば、導入可能です。
※1分足にドロップします。
※パラメーターの単位は分、5は5分足変換、1時間に変換したいなら、60と入力すれば良いです。変換が完了したら、MT4を再起動したら、2005年からのバックテストを開始できます。結果については、最低限で下記のポイントを押さえましょう。
バックテスト結果の見方

① モデリング品質
選択したモデルに対して、結果の質を表す数値です。90%付近またはそれ以上が目安ですが、1分足は25%の場合が多いです。
② 不整合チャートエラー
チャートの欠損や異常を表す数値です。10年間バックテストの場合、20本以下が目安です。あまりにも不整合が多い場合は、ヒストリカルデータを削除してから、再度インストールしましょう。
③ プロフィットファクタ(PF)
EAの収益性能を評価する非常に重要な指標です。売上と費用のレシオのようなイメージです。計算式はPF = 総利益 ÷ 総損失 です。高ければ高いほど良いですが、他のポイントと合わせてみる必要があります。目安としては、1.5以上が望ましいですね。
④ 純益
バックテスト期間の総利益と総損失の差額です。多ければ多いほどいいですが、ドローダウンはあなたの許容範囲内に収まっているかどうかも注視する必要があります。
⑤ 期待利得
1取引当りに、平均でどれぐらいのリターンを得られるかを表す数値です。数値はバックテストで使用する通貨の金額で表示しています。
⑥ 最大ドローダウン
バックテスト期間中に、最大損失を表すとても重要な指標であり、低いほど良いです。数値はバックテストで使用する通貨の金額で表示しています。パーセンテージより、絶対金額で確認することが重要です。最大損失はあなたの許容範囲内かどうかを確認しましょう。
⑦ 勝率
勝利の回数と全取引数の対比です。高いほど良いですが、ドローダウンや1ロット当りのストップロスも合わせて評価しましょう。
⑧ 最大連敗
ありがたいことに、MT4は最大連敗の回数もカウントしてくれます。ここはまさにメンタルに関わる部分だと思います。最終的に勝っているかもしれませんが、連続30回の損失とか、さすがに途中で自信なくなりますよね。投資家によってスタイルが違うので、各自の許容度と照合してみたほうが良いでしょう。
⑨ 総取引数
バックテスト期間中に取引回数の統計です。EAのスタイルによって違いますが、成績が高くても全然取引しないのもストレスですよね。目安としては年間換算した時に、200回以上の取引数があれば良いでしょう。
また、バックテストで表示している各結果については、こちらのご参考になって頂ければ幸いです。
- テストバー数:バックテストの時間足数
- モデルティック数:バックテストで行なったティック数
- モデリング品質:バックテストの精度。90%以上が望ましい
- 不整合チャートエラー:バックテスト期間の時間足不整合数
- 初期証拠金:バックテスト開始時の証拠金
- 総損益:総利益 - 総損失
- 総利益:利益の合計
- 総損失:損失の合計
- プロフィットファクター:総利益 ÷ 総損失
- 期待利得:総損益 ÷ 総取引数
- 絶対ドローダウン:初期証拠金から最も減じた金額
- 最大ドローダウン:最も資産の増えた時から最も資産が減じた点の下落額
- 相対ドローダウン:最も資産の増えた時から最も減じた比率が大きい点の下落率
- 総取引数:自動売買を行なった総数
- 売りポジション(勝率%):ショートポジションの合計数と勝率
- 買いポジション(勝率%):ロングポジションの合計数と勝率
- 勝率(%):勝ち数の合計と勝率
- 負率(%):負け数の合計と負率
- 最大勝トレード:勝ったトレードの最大金額
- 最大敗トレード:負けたトレードの最大金額
- 平均勝トレード:勝ったトレードの平均金額
- 平均敗トレード:負けたトレードの平均金額
- 最大連勝(金額):連勝最大数とその時の利益
- 最大連敗(金額):連敗最大数とその時の損失
- 最大連勝(トレード数):最大連勝時の利益とその回数
- 最大連敗(トレード数):最大連敗時の損失とその回数
- 平均連勝:平均連勝回数
- 平均連敗:平均連敗回数
ビジュアルモードでのサンプルチェック
MT4の中に、非常に便利な機能がビジュアルモードです。
バックテストの結果が見えてきたら、このビジュアルモードにチェック付けて、バックテストを開始してイメージ確認も行ないましょう。その時期の動きや取引などをチャート上で再現してくれます。

全期間をやろうとすると、ものすごく時間がかかり、確認側も疲れてしまいますので、いくつのサンプル期間を抽出し、重点的に確認するのが良いでしょう。
まず、サンプル期間を指定し、普通のバックテストでやった結果をExcelなどで保存します。そして、ビジュアルモードでもう一度行ない、乖離があるかどうかを確認してください。
乖離がなくても、チャート再現時の取引はきちんと正しいところで取引しているかどうかも確認するようにしましょう。
「Quant Analyzer」を通じてバックテストの見える化
Quant Analyzerはとても便利なツールで、バックテストのデータやリアル口座の取引履歴のデータなどを読み込んで、見える化によって詳しく分析できるソフトウェアです。しかも、無料です!!!
Quant Analyzerの公式ダウンロードページはこちら。
Quant Analyzerはバックテストの表記データ以外に、ワンクリックで各断面からデータの加工集計してくれるので、損益イメージは一目瞭然です。ソフトウェアの画面コピーはこちらです。

例えば、時間帯別/曜日別/日別/月別/年別の収支結果とグラフ、損益チャート、トレードの一覧(獲得pipsまで表示)などが表示可能です。
操作パネルからいろいろいじって、意外と新しい発見ができたりします。
月曜日は買いポジションいつも負けているねとか、ポジション2時間以上持ったらほとんど損切りされるよねとか、いろいろ気付くと思います。
このプロセスでご自身のEAをより詳しく知ることができ、運用の工夫によって成績アップにつながるかもしれないです。
そして、複数のバックテストデータの検証によって、ポートフォリオとしてのリスクも把握できます。
例えば、三つのEAのバックテストデータを導入して、相関係数が高くて、各EAの勝率は高いですが、一回あたりのドローダウンが大きいと確認できます。つまり、相関係数が高いので、一つのEAがドローダウン来た時に、他のもドローダウンする確率が高いと考えられ、リスク許容範囲内でコントロールする必要がありますね。
また、EAが手元になくても、バックテストのデータがあれば、検証できます。
例えば、
- 最大ストップロスはデータ検証時に超えていないか
- 時間帯、曜日、日付の負け具合はどうか
- 他のEAとの融合性はどうか
市販しているEAはほとんどバックテストのデータを入手することができるので、このように先に検証してみれば良いと思います。
以上を用いて、バックテスト⇒ビジュアルモード⇒Quant Analyzer というプロセスでEAを検証するやり方を解説しました。是非、一度試してみてください。
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